「先生には人の気持ちがわからない人が多い 教員心理学②」の巻
前回のつづきです。
なぜ、Aさんに、まず、B先生に相談するように言ったのかの種明かしです。
僕は、Aさんからそのいじめの内容を詳しく聞いた上で、いじめ自体は早期に解決できると判断。
すぐに指導に入りたいところですが、その副産物として起こりうる、もっと深刻な状況を懸念していたのです。
それは、Aさんと担任の先生であるB先生の人間関係です。
その子が、なぜ、自分の担任をすっ飛ばして、隣のクラスの担任の僕に、いじめの相談をしてきたのか。ここが一番大事なところです。
その理由は、みなさんのご想像通り、担任のB先生では解決してもらえないと思ったからです。
僕の見解からも、Aさんのとった行動は正解です。
B先生は、そんなに悪い人ではありませんでしたが、学級経営能力は乏しく、そのクラスは荒れ放題でした。
しかし、それを事実として、その先生に突きつけるのは、同僚である僕の仕事であり、その子にやらせてはいけません。
先生といっても、普通の人間です。
生徒に好かれたいとか、頼りにされたいとか、はたまた、他の先生に認められたいとか、できる人と思われたいなど、学校の中での自分の評価を気にしています。(僕は気にしませんが)
自分がその生徒から頼られてないと知ると、その子に対しての態度が冷たくなる可能性が十分にあります。(現時点で、そういう相談も別件で受けています。)
そうなると、Aさんのクラスでの立場は悪くなり、いじめも再発、増悪する恐れもあでてきます。
しかし、その子が担任に相談したあとであれば、僕はその子に対し、二番目の支援者になれるので、堂々とそのクラスに入って指導しても、担任の先生の面目も保てるというわけです。
そして、結末について。
AさんがB先生に相談したことを確認した後、即、僕がそのクラスに乗り込み、いじめは解決しました。そして、たまたま見つけた感を出しながら、B先生にも詳細と指導内容を報告しました。
すると、B先生からは、「Aさんからも聞いてます。先生(僕のこと)が指導してくれたのであれば、それでかまいません。」となったので、その後の経過観察をお願いしすると同時に、生徒指導のノウハウもやんわりと伝え、いじめ問題は一件落着。
その後、その学年が終わるまで、AさんとB先生との関係は悪化せず、Aさんは楽しく学校生活を送ることができたというお話でした。
「なぜ、僕のところに相談にきたのか。」
その「なぜ?」を時間軸を辿ってその子の環境にまで視野を広げることにより、解決の次に起こるやもしれない問題をも予知することができます。
中学校ならまだ知らず、学級王国といわれる小学校では、その王様の心理をも考慮しながら、学級の枠を越えた生徒指導はしていかなければなりません。
このお話のキーマンは、Aさんをいじめている「いじめっ子」ではなく、「B先生」なのです。
そのことを、座談会にいた先生方に問うてみたのですが・・・
人の気持ちがわからない先生には、きちんと解説を入れても、なかなか理解できないことかもしれませんね。