かぐらいっきょうの『ここが変だよ日本の教育』

日本の社会や教育で疑問に感じていることをちょこっと書いたブログ

「遅くまで学校に残って仕事をする新任教諭に異常だといった教頭」の巻

 僕は、以前、小学校の教員をしていたのですが、就職したのは、20代後半です。

 

 大学を出てすぐに就職しても良かったのですが、そうしなかったのには2つ理由があります。

 1つは、大学院にいったこと。

 もう1つは、20代の間は学校以外の世の中を見ていおこうと考えたからです。学校の先生は「世間知らず」とよく言われますから。

 

 大学院を出てからは、テレビ局や百貨店などで働いたり、日本全国、世界各国を遊学したり、この頃でしかできないことをたくさん経験して、教員になりました。

 

 教師になりたての頃は、仕事が何でもほいほいできちゃうので、どうしても「もっと子どもたちのために」と欲が出て、夜遅くまで仕事をしていました。

 

 休日も学校へ行き、教室環境の工夫改善、次の週の授業の準備、各教科の評価まとめなどをし、時間があれば、中学校に赴き、部活動の指導もしていました。

 

 とにかく仕事、仕事、仕事の毎日でしたが、今振り返ると、教材研究なんかに没頭する毎日も楽しんでやっていました。

 

 

 小さな学校にいた時は、僕が最後までいる感じで、大体21時ぐらいに学校を出ていましたが、大きな学校では、22時ぐらいまで数人の先生が残って仕事をしているのも当たり前だのなんちゃらです。

 

 学校の仕事というのは、授業や学級運営に関してはキリがないので、やる気になればなるほど残業は多くなります。

 

 もちろん、やる気がなくても定時には帰れませんが、キャリアを積んでいくと、準備しなくても適当に授業はできるので、ある程度で仕事に見切りをつけて帰ることは可能です。

 

 

 しかし、ある学校で、この、夜遅くまで学校の残って仕事をしていることが、問題として職員会議で挙げられました。

 

「どうも、かなり夜遅くまで学校に残って仕事をされている先生がおられるようですが、これは異常です。早く帰るようにしましょう。」

と教頭先生のお言葉。

 

「早く帰りましょう」はいいとして、僕はこの「異常」という言葉に反応してしましました。

 

 その学校で一番遅くまで仕事を頑張っていたのは、僕と同学年を担当していた新任の先生だったのですが、彼は真面目で一生懸命、情熱もあって、やはり子どもたちのために日々、やれることを全力でやっていました。

 

 その仕事ぶりを真横で見ていた私は、教頭先生の言葉を聞き流すことができませんでした。

 

「異常というのは、どうでしょうか。若い先生の頑張りを、全否定するような言い方はやめてください。撤回してください。」

 

 さらに、僕の中でヒートアップ。

「確かにこの仕事にキリはありませんが、現時点で、定時に帰れない仕事量を各先生に押し付けている制度こそ、異常ではないでしょうか。家庭の仕事がある先生は、18時、19時には帰りますが、みなさん、仕事を家に持ち帰ってやっています。これは本来、学校でやるべきことです。それを考えると早く帰れというのはかなり無責任な発言です。もっと、先生の仕事を精査、分担して、各々の仕事量を減らすよう、管理職の先生方が努力していただけたら、もっと早く学校を出ることもできるのではないでしょうか。」

 

 そもそも、教頭先生がこの話を持ち出したのは、学校の近くを通った保護者や地域の人から、夜遅くに学校に電気がついていることに対し、「怖い」とか「電気代の無駄使い」などという苦情(?)が来たからだそうです。

 

 管理職と言うのは、そんなもんで、教員や生徒のことより、保護者や世間の目の方を気にしています。

 

 僕がこの発言をしたのは15年も20年も前のことですが、未だに「学校の働き方改革」なんてことを言っています。

 それも世の中の風潮に合わせて。 

 

 僕は、「教育は社会の礎を創る場所」だと考えています。

 もう少し、管理職がその自覚を持って、世の中に左右されるのではなく、自分たちの現場の改革を自らの意思で行い、逆に世間によい例を示していってほしいと望む今日この頃です。